最初のCiPA関連の論文がNature Scientific Reportsに掲載されました

CiPAで実施された最初の大規模研究の結果が、このたびNature Scientific Reportsにて公表されたことをとても喜ばしく思います。この研究にはSophionの研究者であるAnders Lindqvistも共同執筆者として関わりましたが、もちろん他のメンバーの多くの貢献があってこそなしえた成果です。

Kramer et Al. (2020) “Cross-site and cross-platform variability of automated patch clamp assessments of drug effects on human cardiac currents in recombinant cells”, Nature Scientific Reports volume 10, Article number: 5627

このマルチサイトにおける大規模な研究は、5機種のオートパッチクランプシステムと17カ所の研究施設において行われました。指定された共通の実験プロトコルを使用して、4種の主要な心筋のイオンチャネル電流に対する12種の薬物の遮断効力を示すIC50値を推定し、それらの変動について検討されました。

QPatchの実験結果は、私どもSophionのみならず独立した3カ所のQPatchユーザー(計4サイト)から提供されました。論文中では使用機器は匿名化されていますが、結果をご覧頂ければQPatchのデータがどれに相当するかは容易にお分かり頂けるはずです。

今回の研究では、QPatchのデータは室温でのみ取得されました。しかしQPatch II用に新しく開発され温度コントロール機能を用いることで、10〜42℃の範囲内において±0.5℃の精度で正確に温度が制御できるため、今後のより多くの心臓安全性評価が生理的条件に近い温度で実施されることが期待されます。QPatch II温度コントロール機能の詳細についてはこちらをご覧ください。

なお、米国食品医薬品局(FDA)の当初の指示では、溶液にフッ化物を使用することは推奨されませんでした。Sophion のQube 384では、ほとんどのアッセイでフッ化物を溶液に添加してシール抵抗を高めています。しかし、今回はその使用が推奨されなかったため、Qubeでは本研究へは参加しませんでした。その後、本研究において他の機器ではフッ化物によるシールエンハンサーを使用していたことが判明したため、今後のCiPAにおける共同研究を実施する際にはQubeを含めることでFDAと合意しました。既に多くの研究施設において心臓安全性評価にQubeを使用していることから、より多くのデータが提供可能となるものと期待しています。

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