ティーンエイジャーからヤングアダルトへ
2000年7月5日、Sophion Bioscienceはデンマークの製薬会社であるNeuroSearchからスピンオフする形で設立されました。もう20年も経ったことが信じられません。
当社のサーバーにある年表と、Sophionの最初のCEOであるTorsten Freltoftが残した記録から、創業当初の数年間を振り返るのは興味深いところです。恐らくすべての新興企業と同様に、当時のSophionでも資本集めが、最終的にQPatchを生み出す開発体制を維持するための日常生活の一部であったはずです。またこの記録では、サッカートーナメントや学会後の楽しい夜の催しについて、そしてもちろん2001年にオープンしたSophionの新しい施設の落成式についても多くのページが割かれています。
Sophion がQPatchを発表し、その製造を開始した2005年、このときからビジネスの焦点は開発のための資本の確保からグローバルな成長の維持へと移り変わりました。その頃、社内のとある人物がこれからのビジョン1つとして記したことは、今後APCシステムの潜在的ユーザーが求めるものは単にシステムや測定用のプレートだけではなく、アプリケーション担当の科学者とフィールドサービス担当の技術者から強力なサポートであり、それらは他のベンダーから提供されていないと言う指摘でした。 それから16年後の今日、私たちは今でも同じ原則で会社を運営しており、ユーザーは常にアプリケーション担当の科学者とフィールドサービス担当の技術者で構成される専任チームによってサポートされています。
2005年から2010年までの数年間で、新規システムの納入数は急増し、Sophionは4年連続でデンマークにおいて最も急成長している企業としてリストに掲載されました。生産部門が新しいユーザーへのシステムの安定した供給を維持するのに忙しかった間、開発部門ではQPatchの新しい機能に関する開発を続け、とりわけ、世界初の自動化されたRs補正、リガンド作動性チャネルに向けた展開、48チャネルシステムであるQPatch HTへの拡張、マルチホールQPlate、およびカレントクランプ機能を新たに導入しました。これらの機能は今ではすべてのSophion製品と多くの市販製品で標準となっています。
2011年、Biolin Scientificと統合されたことでSophionに大きな変革が起こりました。その時点でSophionは「ほんの」11歳でしたが、会社として急速に成長することを強いられました。Biolin時代に植え付けられたプロ意識と構造化された会社組織から我々は今でも恩恵を受けています。より効率的なサプライチェーンと財務報告システム、ならびにISO 9001認証は、すべて私たちが今日の状況を享受し、さらに将来に向けて適切に備えるプロセスであったと言えるでしょう。
Qube 384が2014年に導入されると、イオンチャネル創薬の手法は転換期を迎えます。384もの独立したチャネルの使用が可能となることで、一次スクリーニングからパッチクランプ実験を導入することが一気に現実的になりました。 2015年にプレートを自動供給するスタッカー機能が導入されたことで、最大15枚のQChipを使った無人スクリーニングを夜通し実行できるようになり、今日では主要なCROや製薬企業において、Qube 384が日常的にそのように運用されています。
しかしBiolin Scientificという大企業への統合は商業的には成功せず、2017年のマネジメント・バイアウト(MBO)によって再びSophionは自ら「家の主」となりました。その後、皆さまもご存じの通り、事業は再び加速します。QPatch II 48、QPatch II 16、Qube Opto、オンラインV½推定、そして新たな改良が施された温度コントローラーの導入により、当社のAPCシステムは今まで以上に使いやすくなり、より高度な機能を備えることになります。直近4年間において前年比2桁の成長を遂げたことで、これまで以上に多くのEUプロジェクト、業界内におけるパートナーシップ、そして学術的なコラボレーションが行われている、大変興味深い新しい状況に今日の当社はあります。
2020年、Sophion Bioscineceはかつて無いほど逞しくなり、大変厳しい「コロナクォーター」であった2020年第2四半期においても、その将来は明るく有望です。未だロックダウンが続いている地域もありますが、一方で研究活動が再開されつつある地域もまたあることを、この数週間にコペンハーゲンから出荷されたSophionのAPCを梱包した木箱が明確に示しています。
QubeとQPatchをほぼすべての主要な製薬会社において導入することで、過去20年間イオンチャネル分野で足跡を残してきたことは当社の大いなる誇りであり、今後20年間もこれまでと同様に継続する心構えです。
「若い頃に形成された良い習慣は全ての違いを生む」
アリストテレス
未来がどうなるかは私たちにも分かりません。最初の20年間で、私たちは世界最高のAPCシステムを市場に投入するばかりでなく、高い性能とデータの品質を、パッチクランプが誰でも簡単に使えるように使いやすくした設計と組み合わせました。私たちは当時、「パッチクランプを呪術から解き放つ」ことを旨としていましたが、今ではそれが達成されたと確信しています。
私たちが将来に向けて約束できるであろうことは、探究心を維持し革新的であり続けることです。使いやすさと性能を組み合わせることで、イオンチャネル創薬とその隣接領域をさらに拡げていきます。私たちが選択した「カスタマーサポートに重点を置く」という2004年から掲げるビジョンを尊重し、これからも実践して行くことをお約束します。