事例紹介: Qube 384による研究ワークフローの最適化 – クリニックでの治療に寄与
神経障害性疼痛に苦しむ人々の治療に対する反応は大きく異なるため、臨床研究の多くは成功に至っていません。患者にとって効果のある治療法が見つかるまで、何年もの「試行錯誤」が必要となることもよくあります。「このことは患者にとってマイナスなだけではなく、患者と医師との関係にも悪影響を及ぼします」とRalf Hausmann氏は説明します。「そのため、私たちは薬物がイオンチャネルにどのように作用するのか、また、変異していないチャネルと変異したチャネルに違いがあるのかを調べています」
「私たちは、電位依存性ナトリウムチャネルであるNav1.7とNav1.8における変異の変化を研究しています。これらのチャネル電流は非常に小さく、感度の高いアンプが必要です。」とAngelika Lampert氏は説明します。「通常、私たちは、非常に小さなガラスピペットを用いたマニュアルパッチクランプ法と呼ばれる電気生理学実験により、細胞を1つずつ測定し、電流が流れるかどうか、また、流れた電流の特性をチェックします」
これは有効なプロセスですが、非常に時間がかかります。「突然変異の機能を本当に理解するためには、多くの細胞を観察し、多くの測定を行う必要があります。」とAngelika Lampert氏は言います。
「プロセスをスピードアップするには、より高い処理能力と、同時に多くの記録を行う機能が必要でした。これが、パッチクランプロボットに興味を持った理由です」
— Angelika Lampert、University 、Principal investigator at Uniklinik RWTH Aachen
Precision2Treatプロジェクトの目標は、そのコンセプトの有効性を証明することです。iPSC由来の感覚ニューロンとQubeを用いて承認済みの医薬品をスクリーニングすることで、細胞の興奮性を低下させる可能性の高い化合物を特定できると、私たちの研究チームは期待しています。
現在もチームは必要に応じてマニュアルパッチクランプ法を使用していますが、Qubeはより多くの可能性をもたらし、マニュアルパッチでは不可能だったハイスループットの医薬品スクリーニングを可能にしています。「以前は、患者の変異体や電圧センサーに局在するナトリウムチャネルの変異を観察し、その特性をマニュアルパッチクランプで分析していました」とRalf Hausmann氏は説明します。「しかし今では、典型的なチャネル特性のほとんどを分析するプロトコルをまとめて実行することができるのです。」