QPatch IIを利用したiPS心筋細胞の記録:50%の成功率
人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術により、病因のメカニズム研究や心臓血管薬の安全性評価へ新たなプラットフォームが設けられ、心筋細胞研究に対する可能性が広がりました。
自動パッチクランプ(APC)によるアッセイでは、薬剤開発においてヒトiPS細胞由来の心筋細胞(hiPSC CMs)が薬物毒性試験と同様に、確実で再現性のあるAPCアッセイ不足により阻まれてきました。これにより、hIPSC CM APCアッセイの幅広い利用は未だ達成されていません。しかし、これら重要性を理解しているため、私たちはヒトhiPSC CMsを活用した作業効率的へ向け、サンプルの準備とアッセイの最適化に専念してきました。
Cav、NavおよびhERG電流そして活動電位も同様に記録することができました。初期の実験では50%の成功率を達成し、さらには薬理学を含む困難で複雑な長時間の実験に挑みました。成功率は低下しましたが、有用な決定的データを取得することができました。
以下に、Cav1.2電流と活動電位データのピーク例を紹介します。データはドイツのゲッチンゲン大学メディカルセンター Niels Voigt教授とグループの共同研究の一環として得られました。
図1:生理学的リンゲル液内でAPC(QPatch II)によるhiPSC由来心筋細胞(hiPSC CMs)内のCav1.2電流研究。左:成功した実験(黒)と電圧依存Ca2+(Cav)電流によるCMs(ICav < -100 pA、グレー)で48箇所の実験サイト成功率パーセンテージ。エラーバーはNQPlates = 3のSD。中央:代表的Ca2+電流軌跡が電圧ステップの範囲(-40〜+60 mV)に渡って誘発され、10 µM ニフェジピン追加の前(黒)と後(赤)。右:10 µM ニフェジピン追加の前(黒)と後(赤)の電圧機能とするCav電流密度。データポイントはNCells = 28のAVG ± SD。
図2:生理学的リンゲル液内でAPC(QPatch II)によるhiPSC由来心筋細胞(hiPSC CMs)内のペース付けした活動電位の計測。左上:成功した実験(黒)とペース付けした活動電位によるCMs(グレー)で48箇所の実験サイト成功率パーセンテージ。エラーバーはNQPlates = 2のSD。右上:iPSC CMsに記録された自発的活動電位の例。左下:ペース付けした活動電位によるCMsの平均的な静止膜電位(RMP)。エラーバーはNCells = 7のSD。中央下:10 µM ニフェジピン追加の前(黒)と後(赤)にペース付けした活動電位。右下:10 µM ニフェジピン追加の前(黒)と後(赤)の90%(APD90)を計算、プロットした。エラーバーはNCells = 7のSD。
実用実験の報告は後ほど。乞うご期待。