CiPA – Comprehensive In Vitro Proarrhythmia Assay
Comprehensive in vitro Proarrhythmia Assay (CiPA)コンソーシアムの目的は、従来のhERGアッセイよりも改善された新薬の催不整脈リスク評価系を構築することにあります。
CiPAによる提案は、以下のとおり医薬品開発プロセスにおける効率化を意図しています。
1)催不整脈リスクの評価を薬剤開発プロセスの初期段階へ移行すること。
2)これまでの評価系では問題となる特性を有するとみなされた化合物でも、開発の継続を可能にすること。
3)医薬品表示の将来的な改善のためにより強固な科学的基盤を提供すること。
Sophion and CiPA
Sophion Bioscienceは心筋のイオンチャネルと心臓安全性評価に関する長年の研究を通じた豊富な経験を有するCiPAのパートナーです。
QPatchは2005年の発売以来、大手の製薬企業においてin vitro安全性スクリーニングに使用されてきており、QPatchシリーズは多くの研究者から心臓安全性評価のベンチマーク的なオートパッチクランプシステムとして評価されています。また近年は、Qube 384の無人オペレーションによるHTSシステムを使った心臓安全性評価に実施に向けた関心も高まってきています。Sophionは世界中の受託研究機関とも連携して、CiPAに準拠した評価系の確立に貢献します。
心筋のイオンチャネルアッセイ
CiPAで推奨する標準的なアッセイは、すべてQPatchおよびQube 384において実施することが可能です。もし運用中のSophionのシステムにまだこのアッセイをインストールしていない場合は、当社のアプリケーション担当者にセットアップをご用命ください。
また、これまで実施が困難とされてきたhERG動態Milnesプロトコルも実施可能となりました。 このアッセイは、薬物結合および捕捉によって生じるhERG電流の振幅および減衰の動態変化を検出することができることから、CiPAの委員会によって推奨されています。MilnesプロトコルはQPatchで簡単に試験することができ、そのアッセイ系は改良型不整脈予測のためにFDAが求めるCiPAの要件を満たしています。QPacthにより得られたデータは、FDAのマニュアルパッチクランプデータと非常によく相関しています。関連するアプリケーションレポートはこちらからご覧ください。
Sophionが提供するCiPA関連の文献とビデオ
- QPatchおよびQubeで行われた心筋のイオンチャンネル研究に関連した文献はこちらをご参照ください。
- SPS 2016にてClint Young氏(Xenon)とLazlo Urban氏(Novartis)が発表したプレゼンテーションがこちらからご覧いただけます。
- ICMS 2016にてMarc Rogers氏(Metrion Bioscience)とArthur ‘Buzz’ Brown氏(MemChan Pharma)が行ったプレゼンテーションの資料もこちらからご覧いただけます。
CiPAについて
Comprehensive in vitro Proarrhythmia Assay(CiPA)は、FDA(Food and Drug Administration)、HESI(Health and Environmental Science Institute)、CSRC(Cardiac Safety Research Consortium)およびSPS(Safety Pharmacology Society)によって提案されました。そして最終的には非臨床のICH-S7Bガイドラインを改訂し、臨床のICH-E14ガイドラインを廃止することを目指しています。S7BおよびE14のガイドラインは、TdP(Torsade de pointes)を引き起こす特定の薬物に関する報告に受け、2005年より施行されました。これによって催不整脈を理由に市場から撤退する医薬品が2005年以降はなくなったことが、ガイドライン制定の成果として評価されています。しかし催不整脈性とQTc延長との関係は複雑であり、薬物によるhERGチャネルのブロックに加え、他にもいくつかの要因に依存しています。さらにQTcの延長は催不整脈作用を検知する上では高感度マーカーとなりうる一方で、特異性はそこそこであると言えます。なぜならTdPを誘発する化合物はQTcを延長しますが、QTcを延長するすべての化合物がTdPを誘発するわけではないからです。
CiPAの提案は、催不整脈リスクの機械的理解に基づいており、以下の3つのコンポーネントによるプロセスで構成されています。
1. 候補薬物はイオンチャネルを過剰発現させた細胞株を用い、複数の標準アッセイにて評価します。 この提案には、Nav1.5(最大および遅延電流)、Kv4.3(Ito)、hERG(IKr)、KvLTQ1/mink(IK)およびKir2.1(IK1)が含まれています
2. イオンチャンネルアッセイによって得られたデータは、心筋細胞の活動電位モデルをもとにした計算モデルに当てはめ、化合物が催不整脈マーカーを示すか調べます。この計算モデルは、その特性が充分明らかになっている標準化合物のデータを用いて較正されます。
3. in silicoシミュレーションの結果は、iPS由来の心筋細胞を用いて検証されます。
FDAは2016年にS7Bの改訂を提案していますが、依然としてプロトコル、バリデーションの方法、移行手順など解決すべき多くの問題があります。現時点では最終的に改訂がいつ実施されるか言及するのは難しい状況にあります。
CiPAコンソーシアムについてはこちらをご覧ください。