QPatchにおけるCiPA Milnes hERG動態アッセイ
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心毒性における副作用は,未だに創薬プロセスにおいて新規化合物の開発が中止される要因となっており(Valentin and Redfern, 2017),ヒトの臨床リスク予測のためには前臨床においてより厳格なin vitro, ex vivoおよびin vivoアッセイやモデルが必要とされている.現在製薬業界では従来のヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル(hERG, KV11.1) アッセイおよびQT延長検出アッセイに対する過度の依存から脱却する方向にあり,特に心不整脈による患者のリスク予測についてよりバランスの取れたアッセイを提供する新たな取り組みが進められている.FDAが主導するComprehensive in vitro Proarrhythmia Assay(CiPA)と日本の規制当局(JiCSA,CSAHi)は,パッチクランプによる電気生理学スクリーニングパネルに他のヒト心臓イオンチャネルを追加することでより正確にモデル化し,不整脈リスクを予測することを目指している.この広範なデータを最新式のヒト心室活動電位のin silicoモデルで解析することにより不整脈の予測が行われる.英国,EU,米国,日本のワーキンググループの5年間にわたる広範な共同作業の結果,心筋イオンチャネルアッセイの‘ビッグ6’パネル(hERG,NaV1.5,CaV1.2, KVLQT1,KV4.3,およびKir2.1)から得られたデータを,標準的なin silico活動電位モデルに組み入れることで,十分にリスクプロファイルが明らかになったほとんどの臨床薬(ただしすべてではない)について,催不整脈リスクを正確に予測できることが明らかとなった.